カルランは、レオナルドとサーシャの頭を赤い翼で慈しみを込めて撫でてから、空へ舞いあがった。その翼には先ほどサーシャが出現させたカルラスープがちゃっかり抱えられてた。


「合格じゃ、カルラの王よ。

非合理的で、馬鹿げていて、滑稽でいながら、なぜか愛くるしい存在。

我はそんな愚かな人間がたまらなく好きじゃ。


もう少し、生きてみせよ」


夜空に舞うカルランは笑って別れを口にした。


「カルラ祭りは盛大にやれよ。カルラスープは毎日じゃ。約束を違えるなよ」

「はい!」

「真紅のドレス、我の赤がよく似合っておる。お主らの結婚に大いなる祝福を授けるぞ」


サーシャが勢いよく返事をして瞬きした次の瞬間には、もうカルランの姿はなかった。

カルランが残したお祝いの言葉もすぐに風に消えた。