レオナルドは金色の穂がなびく畑に向かって、両手を大地についた。


レオナルドの涙が、大地にぽとりと落ちた瞬間、ぶわっと周りの空気が変わったのがサーシャにもわかった。空気の重さが消えて、清浄さが戻った。


「これは盾魔法……?」


盾魔法を展開した時の空気の軽さに、サーシャは気がついた。

サーシャはくちばしマスクを外して大きく息をし始める。喉が焼けるような痛みはしない。正常な空気だった。


「カルラン様の盾魔法!」


大地に座り込んだレオナルドもくちばしマスクを外し、大きく息を吸って吐いて、正常な空気を確かめた。


突如として現れたぷちぷち穀物畑と盾魔法は、「生きろ」というカルラン様の思し召しだ。



「俺たち、まだ……生きてていいのか」