サーシャには食べ物による飢餓がない。飢餓で終わりを迎えるカルラ国で、皆が倒れていくのをサーシャは最後まで見守ることができてしまう。


「お前がまた一人ぼっちになる。それは嫌」


追放死刑にあい、一人ぼっちでカルラ国にやってきたサーシャには、他に行き場などない。


ここに独りで残すくらいなら、レオナルドが一緒に連れて行ってくれるという。


なんて残酷で、優しく、惨い愛の形なのか。


「一人でなら生き残れるお前を、俺の手で終わらせて……一緒に連れていきたい」


レオナルドはサーシャの胸に頬を寄せて耳をあてて、キュン鳴きする心臓の音を聞いた。この音を止まらせるのが、己であったならと考えると、小さな優越感も湧く狂気がレオナルドにはあった。



「お前を決して一人にしない。それがお前を離さないって決めて、お前を守るって誓った俺の愛で……単なる俺のわがまま」