隣に座った人が唾を飲み込む音が聞こえるくらいの静寂がホールに鳴いた。


「ここにはレオナルドがいる。レオナルドが猛威を振るえば領土侵略は現実的でもあると俺は考える」


サーシャはルテの隣で膝を抱えて、王様姿のレオナルドを見守った。サーシャは王様姿のレオナルドから彼の悩みを聞いていた。彼はずっと悩んできたのだ。


国の危機に、他国を十分に蹂躙できる力を供えた自分は、何のために生まれてきたのかと。


今ここでそれが問われている。

サーシャの両手は知らぬ間に重なり、祈りの形になっていた。


「俺はお前らの意見を尊重したい」