レオナルドが遠征中、国には王様が不在だった。


盾魔法消失の緊急事態にも王様が姿を見せなかったことから、騎士団の中の誰かが王様であることに国民は見当がついてしまった。


だが、それを誰も口にはしない。王様の所在を割るような発言は無礼だからだ。


「皆、話を聞いて欲しい。カルラ国の犯した過ちについてだ」


王様姿のレオナルドは国民の前に立って遠征の成果を報告した。

毒気を引き起こしたのは人間である事実と、盾魔法が消失した今、もはや逃げ場はなく終わりは避けられないことを淡々と話した。


「盾魔法は消失し、食料も底が見えた。生産は追いつかない。当然ながら、他国は助けてなどくれない。この国は滅亡が決まった」


王様の言葉に、全員が息を飲んだ。丁寧に説明したレオナルドは、選択を提示する。


「この国と共に潔く死ぬか。他国を侵略してでも生き残るか」