レオナルドは黙りこくり、石の床を穴が開くほどに見つめた。サーシャが薄紅色の瞳の瞬きを増やして即答しないレオナルドに疑念を持った。 サーシャ一人がカルランの元に残り、国に戻って慎ましく暮らすだけで、カルラ国のみんなが救われる。 レオナルドが隣国を蹂躙する必要もなく、みんなハッピーになれる。 なのに、レオナルドは黙った。 カルランはククククと喉の奥を鳴らして、楽しそうにくちばしを揺らした。 レオナルドは跪いていた姿勢を崩し、立ち上がった。 「来い、サーシャ」