サーシャがカルランの側に寄って、赤い翼の手をぎゅっと握って笑いかけた。


「私、カルラン様のためにカルラスープをいくらでも出します。毎日祭壇にお参りしてお祈りして、カルラ祭りも盛大にやるように王様にお願いします」


カルランの黒目にパァっと明るい光が灯る。


もしかしたらカルランはこの神殿でずっと一人で暮らしているのかもしれないとサーシャは勘づいていた。


カルランは本物の異端者であり、化け物だ。


異端者は孤独だ。彼の孤独を埋めることは交渉の糸口になる気がした。