「我は水を清め、大地を洗い、浄化しようと手を尽くした。だが、浄化作業の副作用として毒気が生まれてしもうたのじゃ」

「もしかして、浄化が成功した場所はぷちぷち畑に?」


サーシャがここに来るまでに散見したぷちぷち穀物畑の正体にいち早く気がついた。カルランは自慢げにくちばしをカチカチ鳴らして笑った。


「またカルラスープが食いたくて植えたのじゃ」

「すっごくいい考えですね!ぷちぷち穀物が光り輝いてました!」

「そうじゃろう?サーシャは愛い奴じゃな。我に信仰心があり、スープも出せて、強力な魔法を使う。魅力あふるるのう。我の付き人になるか?」

「ならない」


カルランの翼がサーシャに触れようとするので、レオナルドがサーシャの手を取って引っ張り戻して隣に座らせた。レオナルドが引き戻したサーシャの唇に無理やり舌を入れこんでねっとりお食事キスを贈る。


「ンッ!レオさん、何ですか突然!」

「俺がしたいからする。美味しかった?」

「お、美味しいですけど……」


サーシャが脈絡のないお食事キッスに薄紅色に染まると、レオナルドは満足して頭を撫でた。カルランに見せつけたかっただけのキスである。


「ほう、サーシャは魔力が食事か。おもしろい生き物じゃの。ますます飼いたくなってきた。我の魔力も美味いぞ?味見してみるかの?」

「サーシャは俺のしか食わないんだよ」


赤い翼がサーシャに触れる前に、レオナルドはすぐに背中の裏にサーシャを隠して睨み返す。話の主題としてはレオナルドの人間側が圧倒的に不利だが、サーシャは譲れない。


「話を戻せ。話の続きは、大地を浄化する際の副産物で生まれた毒気の影響で、今度は大蜘蛛が生まれた。だろ?」

「理解が早いの」