彼は王城の祭壇で何度も見た神獣様そのものだった。鳥の顔をして、胴体は人間だ。


「カルラン様?」

「いかにも、我がカルランじゃ」


くちばしマスクと同じ形のくちばしを持つ鳥の顔をしたカルラン様は、手は赤い羽毛で覆われた大きな翼をしている。顔と腕は羽毛に覆われた鳥そのものなのに、胴体から下は人間の形をしていて人間の服を着用中だ。


鳥面人胴、見るからに異形。彼に比べれば、化け物と呼ばれたレオナルドもサーシャもよほど人間である。


今の今まで助けて欲しいと懇願していた相手が、サーシャの婚約者を切り刻んだ。信仰なんて意味がないのかと現実を知ったサーシャにはふつふつ怒りが湧いた。


乙女の純粋な祈りを踏みにじった罪は、何より重い。


「ひどいです、カルラン様……」