レオナルドの後ろに立っていた癒し手のルテと団長の腹の音もグーと鳴って、サーシャは薄紅色の丸い瞳をぱちくりさせた。状況はよくわからないが、黒いローブを羽織った皆さんはとてもお腹が空いているようだ。


そういうことなら、異端者と呼ばれたサーシャの能力の出番である。


救護テントの中で、サーシャが気合十分でしゃきっと立ち上がった。


「ご飯、出します!」


サーシャは地面に両膝立ちになり、両手の指を組み合わせて、祈りの姿勢をとった。いきなり祈り始めたサーシャに場を見守り続けていたルテと団長は衝撃を受けていた。


((祈りでご飯が出るわけない))


腹ペコの団長がケッと吐き捨てた次の瞬間、サーシャの目の前に器に入ったスープが3つ忽然と出現した。


「「「出た」」」