レオナルドでも勝利を約束できない死地濃厚の場所に連れていくのはどうかと、さすがのレオナルドも小指の爪の甘皮ほどは考えた。団長がこそこそとレオナルドの耳に囁き掛ける。


「レオ、サーシャも連れて行け」

「あれ?団長は反対すると思ったけど」


ルテが本当に行くのかとサーシャに問いかけているのを見つめた団長は、レオナルドをぐいっと抱き寄せて恋する男の極秘事項を話す。


「もしルテか、サーシャしか助けられない状況だったら、俺はルテを助ける」

「ブッ団長、正直過ぎだろ」

「俺はサーシャの命に責任が持てない。だからサーシャはお前が守れ。ここよりお前の側が安全だ」

「ついにえこひいきを認めるわけだ」

「ハハッ、俺も落ちるところまで落ちたな。笑っとけ笑っとけ!」