地面に額を擦りつけて盛大に礼を述べるサーシャの前に、レオナルドがしゃがみこむ。容姿への賛美は流して、すぐにサーシャを連れ帰った理由について問い詰め始めた。


「大蜘蛛の上にいっぱいパンを落としたのお前?」


レオナルドに問われて、サーシャは大蜘蛛にパンを降らせたことを思い出した。


(すでに異端者だってバレてる!)


異端者としての能力を見られてしまっていることにサーシャはゾッと血の気が引いた。これはまたここでも異端者として追放死刑の運命なのでは?と思ったのだが、素直な口が正直に答える。ついぺろっと何でも言っちゃう。


「パン降らしたのは私です」

「名前は」

「サーシャです」


ビクビクしながら答えたサーシャだが、レオナルドがキラッキラの青い瞳を瞬かせて長い睫毛で風を起こす。


「サーシャ!もしかして、今もパン出せる?!」