「だ、ダメですよ、レオさん!これはそのちょっとした励ましですから」
「いや、このささやかな胸の圧。これは誘惑とともに抱いてって意思表示以外の何物でもない」
「もう!そんなこと言うんだったらもうしませんから」
「それは嫌。もっとして」
抱き寄せてくれた細腕に守られて、レオナルドはサーシャの胸に顔を押し付けてニヤニヤしていた。女の愛に抱き締められるのは最高に良い気持ちがすると知ってしまった。甘えるのは至福だ。
(((恋人連れ任務うらやまー)))
騎士団の真ん中で愛の花を咲かしまくる副団長カップルに団員全員が羨望の眼差しを向けていると、銃声が鳴った。
どこかで大蜘蛛が出現した合図だ。
団員たちは即座にローブを羽織って、くちばしマスクを装着。戦闘準備にかかる。レオナルドも立ち上がりくちばしマスクをつけてからサーシャを背負った。
「いつも思うんですけどこれ、私邪魔ですよね」
「邪魔じゃない。お前がくっついてないと、心配で。俺、逆に動けないから」
ふわっと風に舞い乗るレオナルドは、いかにお荷物であってもサーシャをどこかに置いていく気がない。一番手元に置いておかなければ、心配で何も手につかなくなってしまう。
恋の重症である。