風に舞い上がってすぐに前線にたどり着き、上空から戦況を確認すると、大蜘蛛が大群で登場だった。
「大量だな」
「しかもあれ何ですか?大きい!」
いつもの大蜘蛛の中に一匹だけ、さらに大きさを増して巨大蜘蛛に進化したものがいた。あまりの大きさに団員が混乱しているのを見て、レオナルドが上空から声を張り上げる。
「ローブ!!」
しっかり訓練された団員たちが素早く地に伏せると、大蜘蛛たちの群れが風鎌で一蹴される。真っ二つにしてしまえば大蜘蛛はもう動かないはずだった。
だが真っ二つにされた巨大蜘蛛は再度動き出して団員に襲い掛かる。レオナルドがすぐにもう一手繰り出して、四つに切り裂くとやっと事切れた。
「いつもより……元気で丈夫な大蜘蛛でしたね」
「遠慮した言い方するな。あれは狂暴化、巨大化って言うんだよ」
レオナルドが風に浮いたまま手の平を眺めていた。背中にくっついたままのサーシャは大蜘蛛の進化系の恐ろしさに呻いた。
くちばしマスクをしていても美貌が光るレオナルドの青い瞳に疑念が浮かぶ。
(巨大蜘蛛は、かなり……良くないな)



