サーシャが慌てて左胸をコンコンと拳で叩くと、王様は無遠慮にサーシャの頭をぐりぐり撫でる。


「熱心な祈りだったな」

「聞いてたんですか?!どのへんから?!」

「みんなを守って、くらいから?」

「最初じゃないですか!」

「お前の願いごと、人のことばっかりだな。無欲かよ」


みんなが無事に帰りますように、国が平和になりますように、レオナルドが幸せになりますように。サーシャの願いは全部人との幸せだった。


「サーシャだけの願いは何?」


サーシャは王様に言われて考えてみる。うーんと頭を抱えるサーシャの頭を王様がぽんぽん叩く。王様はずっとサーシャに触れていたいようだった。


「みんなが幸せになってくれれば、私も幸せになります。私だけ良くてもダメなんです。


だから私って、すごく強欲ですよ?」