この特別任務がもし失敗に終わったら、カルラ国は生き残りをかけて戦争を起こす覚悟だ。王様がそう言っていた。


王様はレオナルドを不憫に思っているようだったが、きっと国民のために、非情になる。そして常に前線で体を張るレオナルドも、みんなを守るために力を奮う覚悟がある人だ。


でもやっぱり自分が生き残るために他国を侵略するのは良いことではない。そんな惨いことを、サーシャはレオナルドにして欲しくなかった。


爪が手の甲に食い込むほどに力を入れて手を組んで祈ったサーシャは、強く強く祈った。


「どうかどうか!レオさんが、幸せになれますように!!」


力いっぱい祈ったサーシャは、立ち上がった。


「私も精一杯がんばります!だから、お力添えお願いしますね!カルラン様!」


両手の拳をふんと握り締めて、サーシャは鼻息荒くカルラン様に誓う。


くるっと祭壇に背を向けたサーシャの目の前に、くちばしフルフェイスマスクの王様が出現した。サーシャはびっくりし過ぎて声が出なかった。いつからそこにいたのだろうか。声かけて欲しかった。


「王様!」