サーシャがとろっと惚けた顔でなんとか言葉を紡ぐと、レオナルドはゴキゲン急上昇に眉を上げて笑った。サーシャの唇を太い親指で撫でて愛でる。


「本来キスは、味なんてしない生々しい肉厚だけ。

お食事キッスはもちろん俺の役目で誰にも譲らないけど、俺は味もしないただのえっちなキスでお前と子ども作りたいって言ってんだよ」


サーシャはまだ無味な愛してるキッスの余韻も抜けないというのに、俺様レオ様は再三の抱かせろプロポーズである。

俺のものだと思っていたものが勘違いであった衝撃から、確実に俺のものになるまで安心できない。


「サーシャ、返事しろ。返事。

はい?イエス?すぐに抱いて?結婚式はいつ?どれ?」

「また全部肯定……」


ぐいぐいぐいぐい一時も待たないレオナルドの性急さに、サーシャはついて行くだけで大変だ。


愛を語って、キスして、告白したら、はい即返事!の勢いがすごい。めちゃくちゃスピード感で生きておられる。だが、レオナルドが返事返事という理由は理解できた。


「レオさん、私が返事しなくて、勘違いしたことすごい根に持ってますね」

「うるさい。返事しろ」


俺様レオナルド様が一人勘違いお付き合いしていたことは、やはり人並みに恥じているらしい。それが顔にほんのり赤みで出て可愛かった。サーシャはやっと少し落ち着いて笑みがこぼれた。


「ふふっ、レオさん可愛いです」

「可愛いのは全部お前な」