レオナルドの留まらない怒りに呼応して、レオナルドの周りを狂暴な風が吹き荒れていた。テントはぶっ飛んだので、この争いは全騎士団員の前に晒されている。


突然始まった不穏極まりない争いに巻き込まれないように、聡明な騎士団員たちはレオナルドの風の外で遠巻きに状況を見守った。ルテはレオナルドに向けた指先を、なおも下げない。


「サーシャにいやらしいキスして楽しんでるでしょ」

「そりゃあ楽しむだろ」


明け透けなレオナルドの発言にやっぱり楽しんでたんだ!とサーシャは赤くなる両頬を両手で覆った。


「俺の恋人とのキス楽しんで何が悪い。俺は浮気を許さないって言ってんだよ」

「俺の恋人?」

「浮気?」