レオナルドの周りには冷気を伴った風が殺気と共に巻き上がり、団長の首筋に見えない風の刃が突きつけられている。団長は両手を上げて苦笑いだ。レオナルドの独占欲がここまで強いとは誰も知らなかった。


すぐに団長の首が飛びそうな予感に、ルテが団長とレオナルドの間に入った。


団長を背に庇ったルテは、レオナルドに指を突き刺す。レオナルドのこめかみに青い癇癪筋が浮かんだ。


「レオが悪い」

「どう見ても団長が戦犯だろ」


レオナルドの形のよい眉は歪んでも綺麗だが、美人は怒ると極寒で怖い。


なお、ルテ様の形の良い眉も歪んで団長に刃を向けたことに怒りを示していた。美人vs美人の戦場で、サーシャはレオナルドの脇に抱えられたまま出番なく固まった。


「レオが面白がってサーシャを弄ぶから、サーシャが苦しんでるわ。団長はただ助け舟を出そうとしただけよ」

「もてあそぶって何だよ。そんなことした覚えない」