レオナルドの受け取り方は非常に前向きだ。さすが愛されるために生まれた男である。


「これ以上ハマっちゃったら、ただの愚かな女で、泥沼ですよ」


サーシャは勢いよく近づいて来るフルフェイスマスクのくちばしを両手で押し返しながら、顔を赤くしてしまった。


「レオさんのこと、こんな好きになって……バカみたい」


約束だったとはいえ、こんな恥ずかしいことを王様に言うのは失敗だ。絶対失敗。

なぜか大興奮だった王様だってほら、静かになってしまった。


(俺の恋人が、俺が好き過ぎて困るって相談してるんだよな今。は?可愛いことしか伝わってこなかったけど?)


なんとか無言の王様を押し返したサーシャは、やっと通常の距離感を取り戻して顔色も平常に戻ってきた。レオナルドも、一瞬嫌と言われたかと思って焦ったが、思い違いだった。


だが安堵したのもつかの間、サーシャの口からとんでもない言葉が落ちた。


「ぶっちゃけると私、レオさんにフラれてしまって」