サーシャはカルラン様の祭壇に向かってねーと可愛く小首を傾げる。神様に対してフランク過ぎる態度だが、サーシャはパンも林檎のパイも最近人気レシピ野菜キッシュも出してカルラン様に大盤振る舞いした。


香ばしいカルラスープの香りに誘われて王様は唾液が増えた。


「俺もカルラスープ食べたい」

「どうぞどうぞ、みんなで食事は仲良くしましょうの合図ですよね」


カルラン様の祭壇の前で食事会が始まってしまった。王様はサーシャと背中合わせに座って、マスクを外してカルラスープを食べ始める。


「俺、またカルラスープ食べられてすごい嬉しい」

「みんなそう言ってくれます。カルラン様もそう思ってるかも」


サーシャは王様の顔を見てはいけないと心に誓ってカルラン様の祭壇だけを見つめていた。サーシャの背中側で王様がスープを食べている。


「レオナルド呼ぼうか?」

「え”、ど、どうしてですか?」


王様から急にサーシャの心をかき乱し続ける男の名前が出てきて、サーシャはあからさまにどもった。


「レオナルドがいれば、サーシャも一緒にお食事会できるだろ?」

「あーその、お気遣いありがとうございます。大丈夫ですハハ……」


まさにそのお食事キッスに翻弄された失恋がサーシャの頭の9割を占めている。サーシャの不審な様子に首を傾げた王様は、今日の要件を忘れなかった。


「サーシャの悩み教えろよ」