まだ頭を撫で続けている王様がサーシャの話に移ろうとしたが、そろそろ月が真上を過ぎそうだった。レオナルドは月を見上げて、仕切り直すことにした。


「もう遅いな。明日聞こう。明日も休みだろ?昼過ぎに庭に来い」

(今日は免れた……けど勝手に約束もついてきた。王様って俺様だ)


サーシャが失恋について話す前に今日はお開きにしてもらえた。サーシャはラッキーに胸を撫でおろす。


王様はまた風に舞って、サーシャを騎士団の寄宿舎前に下ろしてくれた。


「おやすみ」


王様に送ってもらい、サーシャは寄宿舎へと足を向けた。だが、手を離し、別れたはずのサーシャがなぜか踵を返して、また王様のもとに帰って来た。