「お、おおお王様!?」
「ため息ついて、どうした?何かあったか?」
すっごい普通に話しかけてきた王様だが、王様だとわかるのはもちろん安定のフルフェイスくちばしマスクをしているからだ。
「あ!」
サーシャは左胸を拳でトントンと叩いて、王様用の挨拶をした。マスクの向こうで王様がふっと笑う。
「よく覚えてたな」
「もう私もカルラ国の騎士団員ですから、カルラ国の習慣に従います」
「ありがとう」
王様は明るい声で嬉しそうに礼を言ってくれた。他国出身の流れ者サーシャが自国の習慣を取れ入れてくれると嬉しいのかもしれない。
「王様って、習慣とか、信仰とか、大事にする人なんですね」