セレナが糸の先っぽを歯で切り落として、作業を完了させる。手早く完璧にサーシャのローブは整った。
「もしも、団長の盾魔法がなくなった時ってのは、つまり?」
立ち上がると、上背があるセレナがサーシャに問いかける。サーシャも意図するところはすぐにわかった。
「団長が、死んだとき、ですか」
「正解!その時がきても、文様の力だけで、王城の中の毒気を除去できるように備えてるってこと!」
たった1人の盾魔法使いの団長が死ねば、もうカルラ国は逃げ場がない。
そんな危機を想定して、カルラ国は細々と生き抜いているのだとサーシャは日々知っていく。
カルラ国には常に、深刻な闇のギリギリにいるのだ。



