キス、KISS、キス!─異端者と呼ばれた追放死刑の村娘、2つの顔を持つ俺様陛下の溺愛キスで幸せお腹いっぱいです!


セレナが針と糸を使ってサーシャのローブの丈を素早く縫い、ローブの文様について語る。セレナは好きなものをたくさん語りたい人だとわかってきた。


「これは盾魔法の文様なのよ。


私たち服職人が入れた文様に、団長が盾魔法を流し込んでくれる。


するとこのローブを着て、くちばしマスクをしていれば死の森でも活動できるってわけ」


文様に団長の盾魔法を流し込むことで、団長の手を離れても盾魔法は道具として威力を発揮する。


黒ローブとくちばしマスクの効力はサーシャも死の森で体験済みだ。


「団長の盾魔法ってあちこちで使われてるんですね」


カルラ国はもう盾魔法がなければほぼ活動できない状態だ。


「団長におんぶにだっこなのは事実。でもこの国の至高はレオ様だけど!」


セレナのレオ様節にもそろそろ胸焼けしてきた。サーシャはローブに入った美しい文様を眺めてふと思い出す。


「あ、この文様って王城の壁にあるのと同じですか?」


先日、ルテに王都を案内してもらったときに、ルテがこの文様を撫でて歩いていたのを覚えている。


「そうそう。王城の壁の文様は、

もしもの時のために

長い時間かけて職人皆で刻んだのよ」

「もしもの時?」