団長の鬼訓練は毎日続き、サーシャは毎日苦境に立たされていた。


ご飯魔法を駆使するのは何も辛くない。疲れるだけで、だんだんと量を増やして、効率的にたくさんご飯を出せるようになるのは面白くもあった。


だが、問題は補給の方で。


食堂で300人分ほど食事を提供したあと。サーシャはすぐに騎士団宿舎内の怪我人を癒すための「治療室」に連れ込まれてしまう。


サーシャが暴れようが何をしようがヒョイと身体が大きいレオナルドに担がれてしまえば、サーシャに為す術はない。


サーシャは今、レオナルドによって治療室のベッドに押し倒されていた。


「サーシャ、口開けろって」

「んー!」


上に覆いかぶさる美顔レオナルドの大きな体躯の熱さに、サーシャは口を引き絞って首を振った。絶対口を開けないぞの構えである。口をぎゅっと閉めてイヤイヤするサーシャを上から見下ろすレオナルドは、腰がムズムズした。


(ただ可愛いだけの抵抗なんだけど、これって煽られている?)