翌朝、大いに胸焼けさせられた団長がどーんと腕を組んで、サーシャの前に仁王立ちした。


「よっし、サーシャ。訓練するぞ」

「はいです!団長!」


ガランとした食堂で団長の隻眼がにやりと笑い、ビシッとサーシャを指さした。サーシャも元気満タンでパリッと返事した。


「お前の魔法の能率をがんがん上げていく」

「能率ってどういうことですか?」

「魔力の総量は増やせねぇ。だから能率を上げて同じ魔力量でたくさん食べ物を出せるように訓練する。まあ、やってみろ。ルテ」


団長が隣に控えていたルテに目配せすると、ルテがサーシャに一枚の紙を持って来た。サーシャはルテからレシピをもらって、ビリッと一口サイズに破いてもぐもぐ口に入れた。何度見ても不思議な光景だ。


「紙は、美味いか?」