王様との会食が始まってからすっかり萎縮していたサーシャだが、ついに笑ってしまった。


虚無顔が不気味と思っていたが、王様は話も聞いてくれて、レオナルド食べ放題なんて言うお茶目さもある。


すっかりその顔にも慣れた。クスクス笑っているサーシャを見下ろした王様からも、ふっと笑う音がした。


この王様はサーシャの魔法を利用したいのがわかったので、追放死刑にはしないと確信が持てた。王様に慣れてきたサーシャはぺろっと素直に聞いてしまった。


「王様ってどうしてくちばしフルフェイスをつけてるんですか?」


王様はでかい手でサーシャの頭をぐしゃぐしゃに撫でた。


「これカルラ国の信仰だから。かっこいいだろ?」


サーシャはうんと頷いて思ったこと素直に笑って口にした。


「かっこいいの感覚違うなって思いました!」

「お前、正直過ぎな!」


また笑う王様に頭をぐしゃぐしゃにされて、すっかり仮面の王様と仲良くなれた気がした。


王様は意外と優しくて、その後、騎士団の寄宿舎までまたエスコートして送ってくれた。

くちばしフルフェイスの王様とサーシャが並んでいるのを見て、寄宿舎で出迎えてくれた団長は大笑いで床に転がった。


(なんで、そんな笑うんだろ?)


サーシャは1人、首を傾げた。