「お、折本様!?」



今日のあたしは、ホテルマン。

次郎、ではなく、折本様と彼のことを呼ぶ。



次郎の部屋に、彼女の気配はまるでなかった。

未開封のままのシャンパン。

使った形跡がまるでない、シャンパングラス。

カップルプランの特典のケーキには、まったく手をつけていない。




「彼女と別れたよ」



あたしの手を掴んだまま、次郎ははっきりとそう言った。