「次郎……――」 このホテルに就職してから。 どんなに悲しいことや辛いことがあっても、常に笑顔でお客様に接してきた。 そんな自分を思い出して、あたしは次郎ににこりと微笑みかけた。 「フロントの人が探してたよ」 「え? なんで?」 きょとんとする次郎に、あたしは笑顔をキープしたまま言う。 「明日の朝食の件で話したいことがあるって」 「朝食……? なんだろ?」