戸惑うあたしに、彼はニッと笑う。 「俺と笹木さん、今日は幼なじみでしょ。あ、笹木さんってのもおかしいな。下の名前、なに?」 「……美月」 「じゃあ今日は、美月って呼ぼう。……な? 美月」 ――ドキンッ…… そんなに優しい笑顔で、 『美月』なんて呼ばないでよ。 あたし、どんどん好きになっていきそうだよ。 「で、何? なにか言いかけたでしょ?」