彼女が戻ってきたら、市来くんから連絡がくる。


目の前の彼と話をしながらも、あたしの意識は、テーブルの上に置いた携帯に集中する。





「はぁーっ……。しかし、こんなことになるなんて、思ってもみなかったな」



何杯目かの生ビールを飲んだ彼が、自虐的に呟いた。



あたしは海鮮サラダを食べる手を休めて、彼に問う。



「……折本様、本当は今日……」


「……折本様ってのはやめてよ。次郎でいいよ」


「えっ?」