「あれ……? 笹木?」 「……市来くん!!」 ――最悪……。 館内に入ってすぐの、目の前にある階段から地下に降りようとしたとき、フロントの市来くんとバッタリ出くわす。 いつもはフロントカウンターの向こう側にいるのに。 なんだってこんな時ばかり、カウンターの外に出て来てんのよっっ!! 市来くんの視線は、すぐにあたしの隣にいた彼に移される。 「あ……っ、お客様は……」