「お疲れ様でしたっっ!!」 勤務が終わった午後六時。 あたしは更衣室で私服に着替えたあと、化粧をなおし、ホテルの正面玄関に向かった。 玄関には同じ部署のドアマン、石倉さんが立っている。 四十代の石倉さんはベテランのホテルマン。 ドアキャプテンという立場上、ホテルのルールに一番厳しかった。 あたしは正面玄関にそびえ立つ大理石の大きな柱に身を潜め、彼が来るのを待つ。 あたし……、とんでもないことやっちゃったよ。