お客様を客室に案内するために、フロント前でスタンバイしていたあたしと理恵子。 「あらっ。なんだか初々しいカップルが来たわよ?」 「えっ?」 理恵子が顎で指し示した方向を、ちらりと見る。 ……確かに。 このホテルの趣とは、少しかけ離れた感じのカップルがフロントに向かって歩いてくる。