「中には遊び道具やキャンプ道具が入ってるんだ。貸し出しもしているから、覗いてみたくなったら連絡してね」


それから二人はコテージの鍵を受け取って車をおりた。
二人が泊まる部屋のドアには110という数字が書かれている。


「明日透子が来たら部屋を移動してもらうことになると思うけど、今日はここで我慢してくれるかい?」


おじさんの言葉にふたりは同時に振り向いていた。


「え? 部屋を変わるんですか?」


和也がとまどった様子を浮かべる。
そんな話は今始めて聞いた。
おじさんはそんな和也の反応を見て驚いたように目を丸くし、それから取り繕うように慌てて微笑んだ。


「き、今日は他の部屋が満室だから、最奥の部屋になっただけなんだ。ほら、君たちも売店とか行くときには少しでも近い方がいいだろう?」


何かを隠しているのか早口になっている。
なんだろうと思っている間におじさんはさっさと車に乗り込んで走り出してしまった。


「どうしよう。入る?」


和也に聞かれて亜希は視線をコテージへ戻した。
他のコテージと変わらない、庭がついている分だけ豪華に見える。


「そうだね。寒いし、入ろう」


亜希が頷くと、和也が受け取った鍵でコテージの玄関を開けたのだった。