無事にお風呂も終えて、夜の9時になる頃には和也も亜希もそれぞれの部屋に入っていた。
コテージは一階建てで、それぞれの部屋はリビングに隣接してある。


「じゃあおやすみ」


と、声を掛け合って部屋に入るとすぐに眠れるかと思ったが、和也はなかなか根付くことができなかった。
長旅のせいで逆に目が冴えてしまっている。

しばらくベッドに横になって目を閉じていたけれど、1時間ほどで喉の乾きを感じて目を開けていた。
その間にも眠ったような眠っていないような、ふわふわとした感じがしていた。

ベッドから抜け出してリビングへ続くドアを開ける。
電気をつけなくても、大きな窓から差し込む月明かりでリビングの様子はだいたいわかった。

キッチンへ向かい、冷蔵庫を開ける。
そこに入っている500ミリのお茶のペットボトルを取り出すとそのまま部屋に戻るつもりだった。

しかしリビングを通り過ぎようとしたそのとき、どこからともなくすすり泣きの声が聞こえてきて足を止めた。


うぅぅ……うぅぅ……。