「つ、ついた…着いちゃった」
目の前に広がる広大な敷地に建つのは、紅学園の名の通り赤色の立派な校舎。
同じく大きな門扉から、その気品の高さが伺える。
(待って、良いんだよね?入って…)
きょろきょろと辺りを見回してみると、私と同じ制服を着ている人達がぞろぞろと、入っていく。
「なんか…」
すごい美女美男子ばっかりな気がするんだけど!同じ制服を着てるはずなのに、自分だけ別の学校の人間みたい…
あれの中で、私これから生活するのか…やばい、なんかすごい場違い感がある…
で、でも行くしかない!
手を握って、深呼吸…深呼吸…
「ねえ、ねえってば!」
「う、ぎゃあ!」
突然誰かに肩を掴まれて、驚きすぎて女の子とは思えない声をだしてしまった。
(やばい、やばいやばい恥ずかしい…誰…?)
顔に集まる熱をおさえることもできずに、慌てて後ろを振り向くと、私と同じ制服を着た女の子が不思議そうな顔で立っていた。
とても可愛い顔立ちで、茶髪の髪はふわふわとしている。
「どうしたの?具合悪いの?」
「えっ……いや大丈ぶ…です。」
「そう?なんかうろうろしてたから気になっちゃって。」
うそ、私そんなにうろうろしてたの…
まさか入学式が始まってすらいないのにやらかすなんて…
「ご、ごめん。あの…入っていいのかなって思っちゃって。」
「ふふ。なんだ、そういうこと。良いんだよ。行こ。」
私の腕をやや強引に掴むと校門に進んだ。