アリスちゃんに威嚇された彼は少しびっくりして目を見開いたが、すぐに元の硬い表情に戻した。

伏目がちな目を真っ直ぐにこちらに向けると、彼は一言。


「ごめんね。」


それだけ言うと、学園内の方へと立ち去ってしまった。





「……ちょっと、お兄さま!」




アリスちゃんが声を上げながら彼の後を追う。

なんだかすごいことになったてしまったな…

一人ポカンとしてへたりこむ。

もとの周りの騒々しさが戻るのを聞きながら、アリスちゃんのお兄ちゃんに考える。



彼がヴァンパイアで、出会い頭に噛みつかれたというのは、なかなかの経験だった…




(ヴァンパイアに噛まれたのは初めてじゃないけど…)




第一印象真面目な彼が意味もなしに噛んだとは思えないし…

なにか意味があるのかもしれない。



「あっ忘れてた!早く学園長のところに……」