「薫子、目瞑って」
「…?わ、わかったわ…」
言われた通り目を瞑った。
これなら緊張することも恥ずかしがることも軽減される気がして、ほっとした…次の瞬間。
「…ほんと、素直すぎ」
理央の一言を疑問に思い、思わず目を開けて後悔する。
「へ──!?…んっ、んん…っ…」
本来なら首筋にあてがわるはずの唇が、私の唇と重なっていた。
触れる程度の軽いものから、どんどん角度を変えて深くなっていく。
ほんのり香る理央の匂いとキスの甘さで、クラクラする。
大量に降り注ぐキスの雨が私の酸素を奪っていき、酸欠状態に陥って理央の胸を叩いた。
「っ、も…むり…っ」
「…涙目とか、ほんとかわい」
最後にちゅ、とリップ音を立てて理央のそれが離れていった。
身体に力が入らなくって、ぐったり理央にもたれかかってしまう。
っ…なに?今の、キス…。
身体ごと支配されてしまいそうになるあの感覚が、まだ離れてくれない。
吸血された時よりも苦しかったのに、こんなにも理央のキスは私を満たしてくれる。



