その後、皆が雑談しているうしろで、恵真はこっそりこずえにメッセージを送る。

『こずえちゃん、お疲れ様!今日の勤務は何時上がり?』

するとすぐに返事が来た。

『恵真、お疲れー。今日は朝から飛んでたから、もう上がりだよ。今、更衣室で着替えてる』
『そうなんだ!良かったら5階のカフェでお茶でも飲まない?』
『いいねー!行く行く』
『じゃあ、待ってるね』

恵真は、ふふっと笑ってスマートフォンをしまう。

(ラッキーだなー。やっぱり恋の神様が味方してくれてるのかな?)

そして伊沢に声をかけた。

「伊沢くん。このあと5階のカフェでお茶しない?」
「いいけど。お邪魔じゃないの?佐倉さんと二人で行ったら?」
「いいのいいの。あ、先に行っててくれる?あとですぐ追いかけるから」
「へ?ああ、うん。分かった」
「それと、これも持って行ってくれない?」
「ん?何これ」
「いいから。あとでね」

首をかしげる伊沢に強引に小さな手提げのペーパーバックを渡し、恵真は大和に、そろそろ行きましょうと声をかける。

「そうだな。それじゃあ、俺達はこの辺で」
「ああ。今日はありがとう。気をつけて帰れよ」

失礼しますと、恵真と伊沢もお辞儀をして部屋を出る。

「じゃあね、伊沢くん」
「え?ああ、うん。じゃあ先に行くね」
「うん。お疲れ様!」

恵真は笑顔で伊沢に手を振った。