夜、ベッドで眠る恵真の寝顔を見ながら、大和は一人考え込む。

(野中さんの結婚で、会社は今お祝いムード1色だ。俺と恵真がそれに続くのは、良いタイミングなのかもしれない)

それに、もうこれ以上周囲に黙っているのは、自分の中でも限界だった。

(恵真にプロポーズしよう)

心の中で決意する。

(ずっとずっと、恵真と一緒にいたい。毎日こうやって恵真に触れているだけで、俺はこの上なく幸せな気持ちになれる)

優しく恵真の頭をなでていた大和は、ふと思いついてベッドサイドテーブルに手を伸ばした。

置いてあったメモパッドから1枚切り取ると、何度も折って細くする。

それをくるりと丸くしてから、そっと恵真の左手の薬指にはめて、目印の折り目を付けた。

(これで恵真の指のサイズが分かる)

思わずニヤリとしながら、大和は丸い輪っかを大事に引き出しの中にしまった。