「やっほー!伊沢。お疲れー」
帰宅した伊沢がのんびりテレビを見ていると、航空大学校時代の同期のこずえから電話がかかってきた。
相変わらず元気そうだ。
「ねえ、今日さ、空港で面白いもの見ちゃったんだー」
「ん?何だよ、面白いものって」
「あのね…」
こずえは、くくっと笑いを噛み殺す。
「羽田でさ、迷子になってるコーパイがいたの!キョロキョロしながら右往左往してて、よく見たらおたくの会社の制服着ててね」
「へえー、新米のコーパイなのかな?」
「くくくっ、そうかもね。一緒にいたうちのキャプテンも、天下のJWAさんのパイロットでも迷子になるんだなって妙に感心してたわよ」
「いやいや、お恥ずかしい。でも空港で迷子になるって、パイロット以前の問題だなあ」
そう言うと、もう限界とばかりにこずえは吹き出した。
「あっははは!確かにねー。しかも迷子になってる自覚もないんだもん。大丈夫なのかしらねー?あのコーパイくん」
ん?と伊沢は首をひねる。
こずえがこういう口調になる時は、皮肉を言う時だった。
「こずえ、もしかしてそのコーパイって…」
「あ、ようやく気づいた?迷子のコーパイくん!」
「はあ?俺が迷子?そんな訳ない…」
そこまで言って、伊沢は思い出した。
忘れ物をしたお客様の為に、グランドスタッフを探し回った事を。
長い通路を行ったり来たりしながら、手の空いているスタッフを見つけるのに走り回っていたっけ。
「ちょ、違うって!あれはだな」
「まあ、必死な感じだったから、敢えて声はかけなかったけど。何か事情があったんでしょ?でもどう見ても迷子にしか見えなかったわよ」
そう言ってまた笑い出す。
はあ、やれやれと伊沢はため息をついた。
こずえには、口では勝てない。
それに明るいこずえの声を聞いているだけで、自分まで元気になる。
話の内容は、もはやどうでも良かった。
迷子だと思われても、楽しく笑ってくれるのならそれでいい。
帰宅した伊沢がのんびりテレビを見ていると、航空大学校時代の同期のこずえから電話がかかってきた。
相変わらず元気そうだ。
「ねえ、今日さ、空港で面白いもの見ちゃったんだー」
「ん?何だよ、面白いものって」
「あのね…」
こずえは、くくっと笑いを噛み殺す。
「羽田でさ、迷子になってるコーパイがいたの!キョロキョロしながら右往左往してて、よく見たらおたくの会社の制服着ててね」
「へえー、新米のコーパイなのかな?」
「くくくっ、そうかもね。一緒にいたうちのキャプテンも、天下のJWAさんのパイロットでも迷子になるんだなって妙に感心してたわよ」
「いやいや、お恥ずかしい。でも空港で迷子になるって、パイロット以前の問題だなあ」
そう言うと、もう限界とばかりにこずえは吹き出した。
「あっははは!確かにねー。しかも迷子になってる自覚もないんだもん。大丈夫なのかしらねー?あのコーパイくん」
ん?と伊沢は首をひねる。
こずえがこういう口調になる時は、皮肉を言う時だった。
「こずえ、もしかしてそのコーパイって…」
「あ、ようやく気づいた?迷子のコーパイくん!」
「はあ?俺が迷子?そんな訳ない…」
そこまで言って、伊沢は思い出した。
忘れ物をしたお客様の為に、グランドスタッフを探し回った事を。
長い通路を行ったり来たりしながら、手の空いているスタッフを見つけるのに走り回っていたっけ。
「ちょ、違うって!あれはだな」
「まあ、必死な感じだったから、敢えて声はかけなかったけど。何か事情があったんでしょ?でもどう見ても迷子にしか見えなかったわよ」
そう言ってまた笑い出す。
はあ、やれやれと伊沢はため息をついた。
こずえには、口では勝てない。
それに明るいこずえの声を聞いているだけで、自分まで元気になる。
話の内容は、もはやどうでも良かった。
迷子だと思われても、楽しく笑ってくれるのならそれでいい。



