Good day ! 2【書籍化】

「シップ、全てOKです」
「了解。じゃあ降りようか」
「はい。お疲れ様でした」

無事にホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港に着陸して全ての乗客を降ろしたあと、コックピットのドアを開けた大和と恵真は、目の前にCA達が集まっているのを見て目を丸くする。

「え、ど、どうしました?」
「佐倉さんご夫妻、ハネムーンフライトお疲れ様でした!」

お疲れ様でした!と皆が笑顔で口を揃える。

「あ、ありがとう、ございます」

二人で戸惑いながらお辞儀をする。

「これはハネムーンフライトにご搭乗頂いた新婚カップルへのプレゼントです」

ベテランのCAがそう言って、にこやかに小さなくまのぬいぐるみを二つ差し出した。

「わあ、可愛い!」

恵真は笑顔で受け取る。

タキシードとウェディングドレスを着たペアのぬいぐるみは、この便のカップルだけに贈られる特別仕様のものだった。

「それから、はい!こちらが当便のハネムーンフライト搭乗証明書でございます」
「はあ。これが噂の…」

二つ折りで厚みのあるスカイブルーの台紙を受け取った大和が、中を開いてみる。

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『JWA ハネムーンフライト搭乗証明書』

2024年3月1日
日本ウイング航空 186便
羽田発ーホノルル行き

お二人がこのフライトで 人生の新たな旅に飛び立たれました事をここに証します

日本ウイング航空

機長 佐倉 大和
副操縦士 佐倉 恵真

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そして名前の横には、それぞれ大和と恵真のサインがプリントされていた。

「ひゃあ!こ、これがお客様に配られたのですか?」

恵真が驚いて尋ねる。

「ええ。皆様、とても喜んでいらっしゃいましたよ。キャプテンのPAも素敵でしたし、お客様の笑顔が溢れたフライトでした」
「私達も、この便に乗務出来て幸せでした」
「ありがとうございました!」

拍手が起こり、大和と恵真は照れて顔を見合わせた。

「こちらこそ、ありがとうございました。私達にとっても、とても思い出深いフライトになりました。これからもよろしくお願い致します」

大和と共に、恵真も深々と頭を下げる。

「改めて、ご結婚おめでとうございます!佐倉キャプテン、恵真さん」
「ホノルルでは、束の間の新婚気分を味わってくださいね」
「私達、ラブラブなお二人を見かけても決してお邪魔は致しません!」

あはは!と皆が笑い出す。

思いがけず幸せな気分になり、大和と恵真も微笑んで頷いた。