「JW 186. Wind 120 at 10. Runway16 Right. Cleard for takeoff」

全ての離陸準備が整い、やがてタワーの管制官から離陸許可が伝えられた。

「Runway16 Right. Cleard for takeoff. JW 186」

恵真がリードバックを終えると、大和が気合いを入れて声をかける。

「よし、行こう。Cleard for takeoff」
「はい、お願いします。Cleard for takeoff」

ゆっくりと機体が動き出し、オートスロットルのモードが変わる。

機体は滑走路の上をどんどん加速して走り続け、エンジン推力を表す指標が離陸推力まで達した。

恵真は「Thrust Set」とコールする。

対気速度計が80ノットに達した。

「Eighty」
「Checked」

恵真のコールに大和が応える。

やがて離陸決心速度に達した。

「V1」
この先はもう飛び立つしかない。
大和の右手がスラストレバーから離れた。

「VR」
ゆっくりと大和が操縦桿を引き、機首が空へと引き上げられる。

「V2」
安全離陸速度に入り、昇降計の上昇指示を確認した恵真は、さらに「Positive」とコールする。

「Gear up」
「Roger. Gear up」

ギアが無事に格納されたのをチェックすると、管制官から交信が入った。

「JW 186. Contact Departure. Good day!」
「Contact Departure, JW 186. Good day!」