Good day ! 2【書籍化】

次の日、クリスマスの朝。

恵真は早朝便のフライトの為、朝4時半に起きる。

アラームで大和を起こしたくないと思っていたら、5分前に目が覚めた。

腕を伸ばしてアラームをオフにした恵真は、ふと、枕元にリボンのついた箱が置いてあるのに気づいた。

リボンにはカードが挟んである。

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Dear. Ema

Merry Christmas!

Santa Claus
……………………………………

え…?と小さく恵真は呟く。

「サンタクロース?え…サンタさんから?」

首をかしげながら小声で呟く恵真の声に、大和は寝たフリをしながら笑いを堪える。

「サンタさんからのプレゼント?Emaって、私に?え、開けてもいいのかな?」

いいに決まっているのに、恵真は困ったように小さく呟いている。

大和は我慢出来なくなり、目をうっすら開けて様子をうかがった。

戸惑いながら、恵真がそっとリボンを解き箱を開ける。

「わあ!」

途端に恵真は、子どものように目を輝かせた。

「素敵…」

箱からプレゼントを取り出し、うっとりと見つめるあどけなく可愛い表情に、大和は思わず頬を緩める。

夕べはあんな事を言ったが、大和はちゃんとプレゼントを用意しており、どうやって渡そうかと考えて、恵真が眠ったあと枕元に置くことにした。

ロンドンフライトの時、ステイ先で探した恵真へのクリスマスプレゼントは、オルゴール付きのスノードームだった。

恵真はドームを一度逆さまにして雪を降らせると、オルゴールのネジを少し巻く。

クリスマスツリーの周りを踊るようにくるくる回り始める男の子と女の子。

そして澄んだ音色で流れてきたメロディは…
恵真の大好きな曲『ラベンダーズ ブルー』

恵真は驚いて目を大きくしたあと、何とも言えない優しい表情で両手に載せたドームを見つめている。

オルゴールがゆっくり止まると感嘆のため息をつき、恵真は寝ているはずの大和を振り返った。

慌てて大和は目をつむる。

「ありがとう、大和サンタさん」

耳元で小さくささやき、恵真は大和の頬にチュッとキスをした。

やがてスノードームを手にベッドからそっと降りて部屋から出ていくと、大和は顔を真っ赤にして、はあーと大きく息をつく。

「あぶね!バレてないかな…」

恵真のキスに身体がピクッと反応してしまい、顔が赤くなってしまった。

「それにしても、可愛かったな…」

恵真の無邪気な笑顔を思い出し、大和はニヤニヤと顔をとろけさせた。