Good day ! 2【書籍化】

恵真はようやく機嫌を直して、ブッシュドノエルを切り分けた。

サンタクロースを隣にちょこんと添えてケーキ皿を渡すと、またもや大和はぷっと吹き出す。

そしてじっとサンタクロースを見つめると、「いただきます」と神妙に呟いてパクッと口に入れた。

「うん、美味しい!」
「やだ、大和さん。サンタクロース食べて美味しいって…」
「えー、だって美味しいんだもん。恵真、サンタクロースに感情移入し過ぎだぞ?」
「そうだけど…。そんなだと大和さんには、サンタクロースからプレゼントもらえませんよ?」

そう言って恵真は、ツリーの下に置いたプレゼントに目をやる。

恵真の視線の先を追った大和が、それに気づいた。

「え?このプレゼント、俺に?」

恵真は、コクリと頷く。

「本当に?!開けてもいい?」
「いいですけど…。喜んでもらえるか、自信はないです」

大和は恵真の言葉を聞き流し、きれいにラッピングされた箱を開ける。

中にはカシミアの濃紺のマフラーが入っていた。
早速手に取ってみる。

「おおー!手触りいいな。暖かいし、早速使わせてもらうよ」
「はい。ヨーロッパの冬は寒いので、ステイ先で風邪引かないでくださいね」
「うん。ありがとう、恵真」

大和は恵真を抱き寄せて額に口づけた。

「ごめん、恵真。俺、プレゼントまだ用意してなくて…」

申し訳なさそうに言う大和に、恵真は首を振る。

「ううん。大和さんにはとっても素敵な婚約指輪を頂いたから、これ以上何もいらないの。私からのお返しがマフラーだけでごめんなさい」
「そんな事ないよ。凄く嬉しい。ありがとう、恵真」

恵真は微笑んで頷いた。