「大聖母」として、宮殿の「祈りの間」にこもって日中祈り続けていたので、大好きな読書の時間はほんのわずかしか取れなかった。だけど、いまからは充分時間が取れる。

 たくさんの本を見ただけでもテンションが上がる。

 専属の侍女や執事までいる。

 しかもウインザー公爵家の使用人たちと違い、やることはちゃんとやってくれる。悪女らしく不愛想かつエラそうに接しているけれど、彼女たちはめげずにこちらの要望に応えてくれる。

 一応王子の妻だから、言うことをきかなくては、というのもあるのかもしれない。

 それでも、すくなくともわたしへの態度は驚くほどいい。

 内心、うれしくなってしまう。