「だけど、ほんとうにわたしでいいの? さっきの茶番、見たわよね? 『大聖母』なんてただの信仰の対象にすぎず、ほんとうはなんの力もない存在。そんなまやかしなのよ。そして、追放者でもある。契約結婚とはいえそんなわたしを妻にしたら、あなた自身だけでなく外交官としてもマズいんじゃない? なにより、わたしは決心したの。いままでは『大聖母』としてつねに良き人間であり続けた。その結果がこれだから、今後はその逆の路線で進みたい。つまり、悪女になるの。だれに対しても、イヤーな女になるのよ。というわけで、あなたのせっかくの申し出だけど、考え直した方がいいんじゃないかしら」