冴え冴えとした月光の中、彼はほんとうに美貌だとあらためて魅入ってしまう。

 背が高くて筋肉質。

 五男坊とはいえ貴族子息で外交官。こうして公式のパーティーに出席することが許されているのなら、外交官でも一等の資格を持っているはず。

 ハイスペックというのかしら?

 どこかのご令嬢たちが、官僚の子息たちを指さしささやきあっているのをきいたことがある。

「おれと契約結婚しないかい?」

 そのとき、彼が提案した。

 その内容が理解出来なかったのはいうまでもない。